本拠点の中核となる愛媛大学沿岸環境科学研究センター(CMES)は、全学共同施設として平成11 年に設立され、「沿岸環境科学研究拠点」として21 世紀COE プログラムに採択され、その独創的・先駆的な教育と研究の実績は、国内外の研究機関で広く認められています。
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  21 世紀COE プログラム期間中(平成14~18 年度)には、総計56 名のポスドク研究員(PD)を採用し、博士課程(DC)学生と一体化した競争的環境の中で学際化・国際化をキーワードとして人材育成に努めてきました。
学際的研究者育成プログラム
  CMESの5部門が実施している野外調査や実験、セミナー等への参加、国内外の学際的な研究集会および学術調査への参加を義務化し、ほぼ全員からその活動報告を提出させました。とくにCOE開始以降は学際化プログラムを本格化させ、国内外の著名な研究者による特別セミナーを31回開催するとともに、化学汚染と環境変動に関するワークショップ・トレーニングコースも国内外で計 9回開催し(内、海外での開催 4回、インド・インドネシア・タイ・ベトナム)、多くの若手研究者・教員・専門家が交流し広い学識を得る機会を提供しました。なお、こうした活動に要した費用は、COEの経費で支援しました。
国際級研究者育成プログラム
  CMESでは将来国際級の研究者として活躍できるよう早くから国際化の活動を展開してきました。その実績の一つとして若手研究員の国際会議等での発表数はCMES設置後 3年間で44件を数えていました。COE採択後は国際化教育を体系化し、外国人客員教授および英語講師による合同セミナーを定期的に開催するとともに、国際誌へ投稿する論文の作成と英語での口頭発表の訓練も実施しました。また、国際会議等での口頭/ポスター発表を推進し、渡航費・滞在費・参加費等を支援しました。また平成18年11月に若手研究員の企画・運営で開催した国際シンポジウムで外国人の招待研究者から人材育成に関する高い評価を得ています(評価はこちら)。さらに、COE国際化教育の一環として平成16年度より海外研修プログラムを導入し、5名のDC/PD研究員を数ヶ月海外の研究機関(米国、カナダ、デンマーク、ニュージーランド)へ派遣するとともに 5名の外国人研究員(米国、ポルトガル、中国)をCMESに受入れ、交流を通して共同研究も推進しました。その成果はこれまで8編の学術論文や学会発表としてまとめられています。
独創的研究者育成プログラム
  若手研究員の独創的な発想力・構想力、専門家としての基本的技能の向上を意図した研究費支援プログラムをCOEの経費を得て遂行しました。科学研究費申請の要領で公募し、書面および面接審査を経て、5年間で59件(総額4,972万円)の応募を採択し支援しました。これらの支援課題については、年度末に研究成果報告会を開催し、中間・事後評価を実施しました。こうした競争的環境下における人材育成が効果をみせ、COE期間中に合計24件(科学研究費・特別研究費奨励費14件、同・若手研究(B)および基盤研究(C) 4件、民間財団の研究助成費 6件)の外部資金を博士課程学生および研究員が獲得しました。また若手が学会から24件のポスター賞・講演賞・奨励賞等を受賞したことも特筆に値します(内、国際会議・シンポジウム等での受賞 9件)。
博士課程学生への経済的支援
  日本育英会奨学生や社会人ドクターを除く博士課程(DC)学生は、COE期間中全員をリサーチアシスタントとして雇用し、経済的に自立して研究に専念できるよう支援しました。

博士課程学生の進路
  COE期間中に2名が大学教員に、2名が国公立研究機関の専任研究員に、10名が学術振興会特別研究員(DC/PD)に、4名が同外国人特別研究員に採用されたこと、同期間に在籍した56名の研究員のうち17名が国内外の大学教員に、5名が国公立の研究機関の専任の研究員に採用されたことも人材育成の大きな成果です(平成18年度に在籍したPD研究員26名のほぼ全員が、これらの職のほか、CMESや他機関のPD等として研究を継続しています)。
  こうした活動が実を結び、若手研究員の筆頭著者英文原著論文数は143編、国際会議やシンポジウム等での口頭/ポスター発表論文数は262編に増加し、環境分野で最上位に位置するハイランク国際学術誌に掲載された原著論文も相当数みられるなど、質量ともに大きな成果を残しました。
  以上、総合的に判断して、愛媛大学21世紀COEプログラムの若手研究者育成計画は、大きな成功をおさめました。

  愛媛大学最初の研究拠点として設立されたCMESは、スタート時から世界的な研究業績をあげ、国の内外でその存在が注目され、高い評価を得ています。
  とくに、海洋環境問題に関連した多様な研究課題に挑戦し、設立後7 年の間に科学研究費補助金基盤(A)に7 件採択されるなど、世界の沿岸環境科学研究をリードする研究を展開してきました。
  21 世紀COE プログラムでは、愛媛大学が世界に誇る「生物環境試料バンク(es-BANK)」等のユニークな研究基盤を活用して「化学汚染」と「環境変動」の先端研究を展開し、国際級教育研究拠点を形成しました。21世紀COE の審査においてその構想が高く評価されたes-BANKの基盤構築では、過去半世紀にわたって世界各地から収集した生物環境試料を整理し、約1,200種類、10 万試料をデーターベース化して国内外の77 研究機関と共同研究を開始しました。有害物質による地球汚染の実態解明と生態影響の研究、および海洋の流動、生態系構造、堆積物の解析による環境変動の研究は、2,047 編の学術論文・学会発表等としてまとまり、COE の成果として公表しています。

研究基盤の整備
  平成17年11月に学内に設置された生物環境試料バンクの竣工に伴い試料の整理・移送およびデーターベース化を速やかにすすめ、体系的・系統的な生物環境試料の収集・管理を実現しています。約1,200種類、10万検体の試料整備を終え、これらのデーターベース情報はインターネット上に公開されています(データベース閲覧はこちら)。この規模の試料管理・保管施設はアジアで初めてと思われ、国内外の多くの研究者・専門家から高い評価を得ています。また質量分析計等大型機器を導入し、世界トップレベルに相応しい環境化学分野の研究拠点としての基盤が整備されました。

研究体制の整備
  CMESは理・工・農学部から13名の精鋭教員を集めて組織し、COEスタート後に専任教授 1名、客員教授 3名(うち外国人1名)、客員助教授 2名(うち外国人2名)を増員しました。COEプログラムでは、CMES教員の高い研究能力を基盤に「化学汚染」と「環境変動」の先端研究を展開し、世界的注目を集める優れた研究を展開しました。例えばCOE拠点形成に関連した研究業績は、著書51編、原著論文338編、総説29編、報告書等310編、学会発表等1,319編、総計2,047編にのぼり、この内、国際学術誌に掲載された原著論文は280編、国際学会等で発表した論文は486編を数え、国内外の学界に多くの学術情報を発信しました。CMESに所属する事業推進担当者・客員教員がCOE開始後 5年間に受けた研究助成は、科学研究費22件(基盤(A) 7件を含む)、省庁等の競争的資金 8件、民間財団等研究助成金20件、地方公共団体等助成金 7件、民間企業等寄付金 6件、学内研究助成金 4件、総計67件にのぼり、総額約7億8千万円の外部資金を獲得しました。さらに、COE期間中に教員が受賞した学会賞等表彰の件数は10件を数え、中でも平成17年11月に拠点リーダーの田辺信介教授が受賞したSETAC Founders Award 国際賞はCOEの集大成でもありました。以上の実績は、厳選した公募人事や自己点検をベースに優れた教員組織と研究拠点の形成を進めた成果といえるでしょう。

国際交流
  4件の学術交流協定締結大学(米国のハワイ大学、オレゴン州立大学、インドのアンナマライ大学、ベトナムのハノイ大学)とは、研究者の交流ばかりでなく共同研究も活発化させ、その成果はCOE期間中に29編の原著論文としてまとまり国際学術誌に掲載されました。生物環境試料バンクに受入・提供した試料はCOE開始後約 3万点にのぼり、海外の20の研究機関(国内は57機関)と新たな共同研究を開始するとともに125編の原著論文を共同研究として発表するなど国際交流を精力的に推進しました。

研究水準
  本拠点の前身となるCMESの環境化学分野の研究業績は、平成12年にISI引用最高栄誉賞に輝きました。21世紀COE開始後の平成16年には生態・環境学分野で世界の 8位にランクされ、また長年にわたり10位前後(国内 1位)の位置を堅持するなど、国際的影響力のある世界最高水準の研究を継続的に発展させてきました。拠点リーダーの田辺信介教授とスブラマニアン客員教授(平成19年4月より特命教授)は、途上国で有害物質の汚染モニタリングを実施する際利用できる指標生物の選択法に関する書籍「Bioindicators of POPs - Monitoring in Developing Countries」を学術振興会の科学研究費補助金(研究成果公開促進費)を得て2006年2月に出版し、国連環境計画(UNEP)や途上国研究者から招待/基調講演を依頼され高く評価されるなど、本申請拠点を実現させるための準備も戦略的・計画的にすすめてきました。

情報発信と評価
  CMESでは研究活動の情報発信源として、多数の学会や研究集会を開催してきました(CMESの過去の講座)。COE期間中には 3件の国際シンポジウムを主催し、7件の国際ワークショップとシンポジウム(内、海外での開催 3件)を共催しました。平成18年11月の「若手研究者の先端研究」に関する国際シンポジウムではCOEで得られた研究成果を総括し、招聘した著名な外国人研究者11名に評価を求めました。その結果、CMESの組織、es-BANK、若手研究者の研究レベル等が世界トップクラスにあると評されるとともに、若手育成に向けての本拠点の努力に対しても最高ランクの評価を得ています(評価はこちら)

 以上の研究実績から、愛媛大学の21世紀COEプログラムは研究活動においても十分に成功したといえるでしょう。


  21世紀COE「沿岸環境科学研究拠点」では、若手研究者  21世紀COE「沿岸環境科学研究拠点」では、若手研究者育成プログラムの総決算として、若手研究者が企画、運営し、研究成果を発表する国際シンポジウムを平成18年11月に開催し、外国人基調講演者 11名から同プログラムや若手育成の成果について最高レベルの評価を得ています。コメントの一部を以下に示します。

  • I believe your program is one of the top 2 to 3 programs in the world in ecotoxicology and is unique in that exhibits excellence in environmental chemistry as well as physiological and molecular toxicology. Your es-BANK is today a major worldwide resource, that will only grow in value over the coming years.
  • The coverage of the topics fits well with the word “pioneering studies” that is relevant for the COE program. No doubt that it is truly pioneering. The presentations of the students were highly professional and this certainly shows the amount of training that they have undergone.
  • It was clear to me that they (young scientists) are conducting cutting-edge research and giving presentations suitable for international symposia anywhere in the world. The CMES should be very proud of the achievements of its young scientists and their laboratory leaders.
  • I think I am most impressed with how you are so clearly dedicated toward helping ‘set the stage’ for the next generation of talented younger scientists from Japan and around the globe to make a important impacts on various aspects of the environmental challenges that face us now and into the future.
  • You have created a world-class institution that is conducting very important research on the impact of various chemicals and other “stressors” on the environment. Your scientists are publishing at a very impressive rate in the best environmental journals, and the quality of the publications is extremely high.


  この賞は、環境化学・環境毒性学分野で最も優れた研究業績をあげた研究者及び世界のこの分野の研究に学術上大きな貢献を果たした研究者に贈られるSETAC最高の賞であり、毎年世界で1人だけに贈られる賞です。 SETAC (Society of Environmental Toxicology and Chemistry)は、1979年に設立され、政府、学界、産業界の協力を得て運営している著名な国際学会です。会員数5,000人(参加国70ヶ国) 北米地区を活動の中心し,ヨーロッパ地区,アジアパシフィック地区,南米地区の支部学会と連携して活動しています。
 受賞は、田辺教授が長年にわたって日本およびアジアの発展途上国において学術的リーダーシップを発揮し、ダイオキシンやPCBなど環境ホルモンによる汚染を体系的・包括的に明らかにした研究業績に対して贈られたものです。アジアに研究拠点を置く研究者としては、田辺教授が初めての授賞となりました。


  この賞は、世界最大の学術論文データベース制作会社であるISI社(アメリカ)から、世界的に影響力の大きい論文を数多く発表した科学者に贈られるものです。1981年から1998年の18年間に発表された学術論文のうち、各分野で1年間に引用回数の多い上位200論文(ハイ・インパクト論文)を抽出し、これら論文の中から13報以上を書いた日本の科学者30人に対して贈られました。田辺教授の場合は、海洋・大気環境システムにおけるPCBやダイオキシン汚染の影響についての研究が評価され、環境化学分野において16報がハイ・インパクト論文として選ばれました。

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