各種のユニークかつ貴重な教育研究プログラムを活かした拠点化戦略により、本拠点は世界における環境研究の知的基盤の役割を果たします。とくにes-BANK は世界に類のない試料およびデータの質と量を有し、そして先進的な環境・生態系監視計画の施設として評価され、すでに国内外の多数の研究機関から共同研究の要請があり、実績もあります。そのユニークかつ高い学術的価値は今後も着実に学術研究の世界に浸透し、世界的な基盤として注目を集め、本拠点の国際的優位性を一層高めることになると確信しています。

 本拠点では教員・若手研究員・留学生が協力してアジア各地で研究を展開するとともに、国際的な場で活躍できる学際的な専門家の育成プログラムを計画しています。本拠点で教育を受ける若手研究者は学問の全体像を掴みながら専門研究の価値が理解できる、つまり先端研究と現実を乖離させることなく知を体系化できる人材として育つことが期待され、学窓の中から環境学分野におけるアジアのリーダー・世界のリーダーが近未来に登場することも夢ではありません。
 科学技術の国家施策を諮問する総合科学技術会議は第三期科学技術基本計画をまとめ、「環境」を引き続き重点4分野の一つとしています。この領域の中には、「化学物質リスク評価」が重点化項目としてとりあげられています。その調査研究を推進する上で経済成長の著しいアジア地域は重要な場であることから、本拠点で計画した化学汚染関連の研究も国家戦略に相応しい時宜を得た課題と考えています。本拠点により得られる成果は、アジアにおける有害物質の環境監視やリスク評価、モデルや環境管理の専門家に貴重な学術的情報を提供できるばかりでなく、国連環境計画(UNEP)・世界保健機構(WHO)・国連食糧農業機関(FAO)等の国際機関や世界各国の政府行政機関、そしてNGOやNPO等非政府組織の環境政策上のニーズに資する有用な基礎情報となるでしょう。とくにUNEPがすすめるストックホルム条約(POPs条約)の履行に多大な貢献を果たすことが期待されます。本拠点がめざす人材育成と先端研究のプログラムは、環境化学の学問分野を体系化・高度化する先導的モデルであり、その学術的/社会的意義および波及効果は大きいと思われます。
 
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