活動報告
   平成21年度グローバルCOEプログラム研究成果報告会
    平成21年度若手・独創的研究費課題報告会
静聴する参加者 ポスター会場の様子
期間 平成22年3月15日(月)~16日(火)
            15日 9:00~17:45    16日 9:00~16:35
開催場所 愛媛大学 総合情報メディアセンター メディアホール
概要
プログラムなど
使用言語:日本語および英語


開催ポスターはこちら

プログラムはこちら




問い合わせ
COE支援室
愛媛大学沿岸環境科学研究センター
E-mail: global'at'dpc.ehime-u.ac.jp  Tel./Fax: 089-927-8178/8167

E-mail送信時には'at'を@に変更してください。
報告 以下、この報告会に参加した若手研究者によるレポートを紹介し、報告といたします。
<全体報告>

 平成22年3月15日(月)から16日(火)の間、愛媛大学情報メディアセンターにおいて、「平成21 年度グローバルCOE プログラム研究成果報告会」が開催されました。今回の報告会では、グローバルCOE プログラム「化学物質の環境科学教育研究拠点」の事業推進担当者に加え、本プログラムに参加するポスドク研究員、博士課程の学生により、本年度から開始されたプロジェクト研究の成果に関する発表が行われました。報告会では、5つのプロジェクトを柱とした37課題の口頭発表、および28課題のポスター発表がなされました。プロジェクト1(代表者:鈴木 聡CMES教授)では、複合汚染環境の生態系における微生物応答―環境維持機能および浄化機能のポテンシャルに関する成果が報告され、プロジェクト2(代表者:岩田 久人 CMES教授)では高等生物を対象とした化学物質による影響のバイオアッセイ系の開発と種特異性の評価というテーマに関して発表が行われました。プロジェクト3(代表者:北村 真一 CMES准教授)ではPAHsおよびアルキル化PAHsの魚類に対する毒性影響評価に関する研究、プロジェクト4(代表者:郭 新宇 CMES准教授)では海洋における残留性有機汚染物質[POPs]の動態モデルと食物連鎖モデルの開発に関する成果が報告されました。最後に、プロジェクト5(代表者:仲山 慶 CMES助教)では生物環境試料バンク[es-BANK]を活用した化学汚染の時空間分布と生物濃縮・代謝動態の解明に関する成果が説明されました。本年度は、グローバルCOE の3年目ということもあり、組織としてより磐石な研究基盤が整い、以前にも増してより具体的で緻密に練られた高度な研究成果が発表されました。加えて、本グローバルCOEプログラムは、3つのコアグループを軸とする組織であることから、前年までの研究成果報告会は、個別グループの立案する研究計画に基づく成果報告が主流でしたが、本年度はグループ間の連携をより深めた成果報告が多く見受けられました。総じて、グローバルCOEプログラムの研究が円滑に推進され、円熟期を迎えつつあることが実感できる発表会でした。      
                                   (理工学研究科 博士課程 3年 染矢雅之)

<サブテーマ1>

 平成22年3月15-16日に愛媛大学総合情報メディアセンター・メディアホールにおいて「平成21年度グローバルCOEプログラム研究成果報告会」が開催されました。本年度からは、新設された5つのプロジェクト研究を中心に成果報告が行われ、サブテーマ1に所属する教員、研究員および学生から、複合汚染環境における微生物応答のメカニズム、アジア-太平洋地域における残留性有機物質(POPs)やPOPs候補物質(BFRs)および水酸化PCBs(OH-PCBs)などの汚染実態、新たな化学物質の分析法の開発に関する研究成果が報告されました。鈴木聡教授のグループを中心とする複合汚染環境における微生物応答のメカニズムに関する研究では、オキシテトラサイクリン(OTC)、テトラサイクリン(TC)および水銀に対する耐性菌が汚染環境中に比較的広く存在していることや、水銀汚染が懸念される地域ではmerA遺伝子の多様性が高いことが報告されました。高橋真准教授のグループを中心とするアジア-太平洋地域におけるPOPs、BFRsおよび水酸化PCBsの汚染実態に関する研究では、es-Bankに保存されている試料を活用したアジア-太平洋地域の汚染実態が報告されました。また、野見山桂助教のグループを中心とする海棲および陸棲哺乳類のPCBs代謝能に関する研究では、PCBおよび水酸化PCBsによる汚染実態が示され、海棲哺乳類のPCBs代謝能は相対的に弱いことが報告なされました。さらに、スジイルカを用いた外洋域微量元素汚染の実態および経年変動に関する研究が報告され、数種のレアメタルと有機水銀による外洋汚染の拡大が示唆されました。また、金 俊佑グローバルCOE研究員を中心とする新たな化学物質の分析法開発に関する研究では、高耐圧高液体クロマトグラフータンデム質量分析計(UFLC-MS/MS)を用いたベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(UVAs)および有機リン酸難燃剤(OPFRs)の分析法の確立、さらに本手法を用いたこれら化学物質による水環境汚染の実態が報告されました。
 今年度の成果報告会では、様々な専門分野の研究者の発表により多くの情報が提供され活発な議論が交わされました。今回紹介された多様な研究が、次年度以降さらに深化し進展することを期待してサブテーマ1の発表は盛会裡に終了しました。
                                         (グローバルCOE研究員 金俊佑)

<サブテーマ2>

  
平成21年度のグローバルCOEプログラムでは、サブテーマごとに独自のプロジェクト研究に取組みました。今回サブテーマ2では、「プロジェクト4:海洋における残留性有機汚染物質(POPs)の動態モデルと食物連鎖モデルの開発」についての研究成果が報告されました。はじめに郭新宇プロジェクトリーダーがプロジェクトの概要を説明し、その上で、長江起源の栄養塩が東シナ海の植物プランクトンに与える影響に関するモデリング研究と、瀬戸内海における低次生態系モデルの開発に必要な現場観測(物理・栄養塩・植物プランクトン群集組成の季節変化)について成果を報告しました。小野純研究員は、東シナ海におけるPOPsの三次元輸送モデルを構築し、大気起源PCB153濃度の季節変化に対する水温の影響に加え、河川からの流入PCB153が河口付近で沈降もしくは大気へ拡散するため、海洋中を長距離移動しない可能性について言及しました。河合徹研究員は全球多媒体モデルFATEを用いてPCBsの時空間動態を定量化し、海洋に排出されたPCBsの多くが亜熱帯域の中深層に集積することを予測しました。さらに、半藤逸樹助教は、FATEをベイズ統計学的に模倣する“擬似FATE”を開発し、全球のPOPs動態予測に対する不確実性解析の研究成果を報告しました。筆者は、瀬戸内海の食物網において、魚類の餌として重要なカイアシ類の栄養段階が海域間で異なることを明らかにし、POPsの生物濃縮リスクに海域差が生じる可能性について言及しました。
加えて、吉江直樹COE助教が行った研究では、海洋低次生態系物質循環モデルeNEMUROの改良に向けた瀬戸内海植物プランクトン群集の時空間変動に関する成果が得られました。また、一次生産量と食物連鎖長の関係を世界各地の沿岸域で調べたTodd W. Miller COE准教授の成果、食物連鎖過程を考慮した高次生態系物質動態モデルでPOPs生態リスクを評価した大森浩二准教授の成果、海ゴミプロジェクトに関する磯辺篤彦教授の成果も興味深いものでした。これらの成果は、いずれもPOPsの環境中での分布と挙動および生物への蓄積の態様を理解する上で極めて有用な知見を提供するものです。今回の報告会でこれまでの成果を総括でき活発な議論が交わされたことは、環境・生物の物質循環を基盤とした高精度なPOPs動態・生態系モデルを構築する上で、大変有意義な機会となりました。                          (グローバルCOE研究員 柴田淳也)

<サブテーマ3>

 
「生体毒性の解明とリスク評価」では、15題の研究成果が発表されました。 本年度のGCOEプログラムでは各サブテーマが独自のプロジェクト研究を遂行しており、今回の成果報告会では各々のプロジェクト研究の成果が詳述されました。まず、 岩田久人教授をリーダーとするプロジェクト4から、高等生物を対象とした化学物質による影響のバイオアッセイ系の開発と種特異性の評価に関する研究成果が報告され、ほ乳類、鳥類から甲殻類までの多様な動物種に及ぼす化学物質の影響を標的遺伝子の転写制御や転写活性化能を解析することによりスクリーニングする方法やリガンド候補物質のスクリーニング法の開発に関する研究成果も説明されました。今後、新たに開発された方法を用いた解析で、野生生物が現実に受けている化学物質の影響を解明できることが期待されます。また、得られた知見が化学物質の包括的なリスク評価に繋がることも期待されました。続いて 北村准教授をリーダーとするプロジェクト5では、重油成分のPAHs およびアルキル化 PAHs の魚類に対する毒性影響評価に関する研究が紹介され、重油が魚類神経系形成やマウス免疫機能に与える影響を分子・細胞・個体レベルで解析した成果が説明されました。また、得られたデータを数理学的に解析する方法も報告されました。神経系形成に対する化学物質の影響がこれまでほとんど究明されていないことは意外で、今後、発展的かつ魅力的な研究課題として熟成することが期待されます。
 今回の報告会に出席して 野生動物の化学物質汚染を評価するツールがかなり揃って来たと感じました。これらのツールを用いた分析により、研究が次の段階へ進むと期待されました。
                              
(連合農学研究科 博士課程2年 樋口理人)
                  
アクセスマップリンク集サイトマップ|個人情報のお取り扱いについて
©Copyright 2007. Ehime University. Global COE Program. All Rights Reserved.