| 期間 |
平成22年7月28日(水) 10:00-12:00 |
| 開催場所 |
愛媛大学 総合研究棟1 理学部6階会議室 |
概要
プログラムなど |
講師:Dr. Jurgen Gailer (Associate Professor)
所属:Department of Chemistry and BSc Environmental Science
Program University of Calgary
題目:New insights into the etiology of
human disease
by probing the bioinorganic
chemistry of the bloodstream
使用言語:英語
開催ポスターはこちら
|
問い合わせ |
COE支援室
愛媛大学沿岸環境科学研究センター
E-mail: global'at'dpc.ehime-u.ac.jp Tel./Fax: 089-927-8178/8167
E-mail送信時には'at'を@に変更してください。 |
報告
|
以下、このセミナーに参加しました理工学研究科博士課程1年 早瀬大祐さんによるレポートを紹介し、報告といたします。 |
平成22年7月28日、愛媛大学総合研究棟1の6階会議室において、第26回グローバルCOEセミナーが開催されました。講師にカナダカルガリー大学のJürgen
Gailer准教授をお招きし、「New insight into the etiology of human
disease by probing the bioinorganic chemistry of the
bloodstream」という演題でご講演いただきました。
アルツハイマー病やパーキンソン病をはじめ、21世紀以降は様々な疾病や健康被害が発生していますが、その原因として環境に放出される物質の関与が疑われています。ヒ素、水銀、タリウム、鉛など、毒性元素と呼ばれるこれら微量元素は、鉱業・産業活動や、電子・電気機器廃棄物などから流出し、環境を汚染しています。Gailer准教授の研究グループは、毒性元素のなかでも主にヒ素と水銀に着目し、これらの生体内での動態について研究を展開しています。具体的には、ヒ素と水銀の解毒機構について、生物にとって必須な微量元素であるセレンの関与を解析・究明しています。ここで注目すべき点は、微量元素の毒性はその化学形態によって大きく異なることです。したがって、生体内でヒ素や水銀がどのような形態で存在しているのかについて理解する必要があります。Gailer准教授らは、彼らの専門分野である分析化学の手法を応用し、血液中微量元素の化学形態分析を実施してきました。
Gailer准教授らが用いている分析手法として、高速液体クロマトグラフィーやサイズ排除クロマトグラフィーなど、各種クロマトグラフィーを用いて対象物質を分離し、フレーム原子吸光光度計やシンクロトロンなどの機器で微量元素を検出する方法が提示され、分析の際の注意点についても紹介されました。また、これら手法を用いて血液中のヒ素や水銀の形態分析を試み、生体内におけるこれら微量元素の反応及び動態についても説明されました。興味深い知見として、ヒ素・セレン・グルタチオンの複合体がメチル水銀と相互作用し、その毒性を軽減する成果が報告されました。セレンがヒ素や水銀の毒性を軽減させる論文はありますが、これら3つの微量元素が複合的に作用するという研究成果は、Gailer准教授らの独創的な業績といえます。
本講演は、分析化学のみならず毒性学の分野にも横断しており、講演後は様々な専門の研究者と活発な意見・議論が交わされました。GCOEが目指す学際的研究を展開するうえで、本講演は非常に有意義なものであったと思います。私はこれまで、魚類中微量元素の形態分析を実施してきましたが、Gailer准教授の講演は生体内微量元素の化学形態がいかに重要であるかを再認識する良い機会となりました。またご紹介いただいた分析手法については、私の研究グループでも実践可能なものがあり、今後いくつかの研究テーマにおいて適用してみたいと感じました。 |