活動報告
   第38回グローバルCOE 特別セミナー
 
講演中の 谷水 雅治 博士 静聴する参加者たち
期間 平成23年12月7日(水) 15:30-17:00
開催場所 愛媛大学 総合研究棟1 増築棟 4階会議室(理学部構内)
概要
プログラムなど

講師:谷水 雅治 博士   
    
所属:海洋研究開発機構 高知コア研究所

題目:金属元素高精度同位体分析法の現状と環境指標としての可能性

使用言語:日本語

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愛媛大学沿岸環境科学研究センター
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報告  以下、このセミナーに参加しました理工学研究科 博士課程2年 飯田 緑さんによるレポートを紹介し、報告と致します。
 平成23年12月7日、理学部総合研究棟4階セミナー室で谷水雅治博士による第38回グローバルCOE特別セミナーが開催されました。谷水博士は現在、海洋研究開発機構高知コア研究所同位体地球科学研究グループのサブリーダーとして活躍されています。同位体地球科学研究グループでは、主に堆積物や岩石などに記録された過去および現在の地球環境の変動・変遷のようすや物質循環を最先端の質量分析計Multiple Collector Inductively Coupled Plasma-Mas Spectrometer(MC ICP-MS)を用いた化学的手法で研究しています。本セミナーでは、主にこのMC ICP-MSの有用性について講演していただきました。
 
 MC ICP-MSは、元素の同位体組成を計測できる質量分析機で地球科学、地質年代学、宇宙化学などの分野において広く用いられている装置です。これまでの同位体分析では表面電離型質量分析計が使用されていましたが、これは操作が煩雑であることや安定した測定結果を導き出すために卓越した技術が必要であることから、限られた技術者や研究者のみが扱える極めて専門的な分析装置でした。一方、MC ICP-MSを用いた化学分析は、MCとICP-MSを融合することでより簡便な操作で未経験者でも簡単に同位体分析が可能なことから、多様な分野で汎用化されるようになってきました。
  
たとえば、小笠原諸島近海に生息するサンゴの年輪の鉛濃度を測定したところ、1910年頃から急激に人為起源の鉛が増加し、1970年代に減少したものの、再び上昇したことが判明しました。同時に鉛の同位体分析を試みた結果、1970年代までは鉛濃度の上昇に伴い鉛同位体比は減少したものの、以降はその比が低下しないことから、1970年代以降の鉛増加は中国から放出された影響であることが推察されました。
 
 このように、同位体の測定は地球化学だけではなく、考古学や人類学にも適用され成果を上げてきています。現在、環境化学において最も汎用されているのは、栄養段階の指標としての炭素・窒素同位体比です。同位体の割合によって産地の判別が可能だとすれば、漂着物の排出起源特定や座礁した生物の生息地特定に応用できますが、これは海中の同位体が平均的であるため難しいと考えられています。毒性学的には人工的に同位体比を変えた化合物を生体曝露することで、物質の代謝経路の解明などに応用できるのではないかと考えられます。本セミナーでは、同位体比測定技術の最前線を理解することができました。今後、MC ICP-MSを用いた同位体比測定の様々な分野、特に環境学分野への活用が期待されます。
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